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2013年2月19日火曜日

★【「赤いろうそくと人魚」完成記念発表会&トークイベント】レポ★“その2”

■小林七郎さんイベント■レポ2「赤いろうそくと人魚」

(C)アトリエ・コバ
「赤いろうそくと人魚」より


(C)アトリエ・コバ
ろうそくを無言で見つめる人魚


司  会 :そもそも「赤い蝋燭と人魚」に出会われたのはいつなんでしょう?

小林さん:戦争の真っ最中、東京の大空襲を受けてですね、東京に出ていた
      20歳年上の一番上の姉がですね、友達とその空襲をのがれて、
      山奥へやってきたんです。
      そこで私は、学校を長欠児童していました。
      つまり、物資の無い時代、履くもの着るものが乏しくて、真冬ね
      通学できないんです。町の学校まで山道で一里近く、まず、足元がね、
      靴はね、磨り減って破れてね、とにかく冬の間中学校に行けない。
      凄い貧乏でしたから、当時は全てが無い無い尽くしでしたからね。
      姉の友達は文学少女的な人で、約2、3ヶ月、冬中いまして、
      『山奥で少年が1人、好きでほつほつと絵を描いていた。』というのを
      記憶していたのでしょうね。
      その後、春先、あの東京大空襲、3月20ですか?で、焼きだされた
      人たちがいるということで、急遽姉の友達は帰っていきました。
      で、まだ終戦になるかならないかのうちに、その人からお礼の手紙が
      来ました。その手紙の紙というのは普通の便箋。
      紙の無い時代ですからね。
      多分その人は少女時代にどなたかと文通していたんでしょうね。
      その便箋の裏にですね。鉛筆書きのね、文章が・・・
      それがね「赤い蝋燭と人魚」のね、物語だったんです。
      便箋の紙にですよ。2回にわたって書いて送ってくれたんです。
      もう、凄い、私には感動だったんです。

司  会 :それでいくと、小学校とか・・・

小林さん:ええ、小学校六年。
      なぜかそれがね、わたしには初めて出合った純文学的な
      心にしみる作品だったんでしょうね。
      だから、終生それがいつもあたまから離れないわけで、
      そうですね、だいたい高校生の頃には
      チラチラッとこれ紙芝居にしよう、とか描いたものが残ってたんです。
      今でも探せばあるんですよ。


と、このような様々なエピソードをお話し頂いた後、いよいよお待ちかね、
「赤いろうそくと人魚」の上映がありました。
小林七郎さんの「赤いろうそくと人魚」はざっくりとした筆遣いで描かれながらも、
登場人物の心情がひしひしと、伝わって来るようでした。
空気感、雰囲気に引き込まれてしまうのです。
幼い頃に読んだ童話を小林七郎さんの描かれる絵で、しかも映像で
見る機会に恵まれて、とても幸せなことだと思いました!

そして、「赤いろうそくと人魚」上映後、小林七郎さんは、直したいところばかりが
目に付きます。まあ、未完成の魅力ととらえて下さい。と、おっしゃっておりました。
小林さんの中ではまだまだ、未完の域を出ていないというのが驚きですね・・・!
見る側としては十分なように感じられるのですが、もしかしたら、作品を作り出す
方からすると、本当の意味でご自身が満足のいく、100点満点と言い切れるものが
完成する事自体、稀なことなのかもしれませんね。
こういった『もっと、良くできる。』という姿勢が、前に小林さんの
話していらっしゃった、“好き”という気持ちを元にした『いや、もっと、もっと。』の姿勢なのかもしれません。

小林七郎さんのお話しによると、今度の作品を完成させるにあたって、
震災を経て、これから自分に出来ることを、アニメの技術を通して、個人レベルで
頑張りたい。という基本姿勢が根底にあったのだそうです。
そして、こんな見せ方、やり方がある。と、その一例として「赤いろうそくと人魚」を
作られたのだそうです。また、これからの時代は個人レベルで作れる時代だと
思うので、できましたら、皆さんにも是非、作っていっていただきたい。
との、小林さんからのお言葉でした。
このように上映の後にも小林さんから色々とお話しを聞かせていただき、
イベントは無事終了となりました。

今回のイベントでは、小林七郎さんの大変、内容の濃い!お話しと、
「赤いろうそくと人魚」の完成記念上映をする機会を得ることが
出来まして非常に光栄でした。
イベントに参加された方々、皆さん一心に小林七郎さんのお言葉に
耳を傾けていらっしゃったようです。
参加したお客さまから「お話しが聞けてよかった!」との声が届いております♪

ゲストである、小林七郎さん、フリーライターの佐々木さん、
会場にお越しいただきました沢山の方々、そして、忘れてはならないのが、
今回の「赤いろうそくと人魚」制作にあたった、J.C.スタッフはじめ、演出や作曲、ナレーションの方々、このたびは、皆さまによる協力のおかげで、イベントを無事、執り行なう事ができました。
この場をお借りして、スタッフ一同お礼申しあげます。
ありがとうございました!


♪イベントに参加できなかった方へ・・・
小林七郎展会期中、小林七郎さんの映像絵本「赤いろうそくと人魚」を
当館の4階にあるテレビモニターにて、終日、上映しております。
見逃してしまった!という方は、是非、杉並アニメーションミュージアム
までお越しください。
小林七郎さんの展示原画と合わせて、お楽しみください!

スタッフ メケコ

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